【怪談】都市伝説「八尺様」—背丈八尺の女の恐怖と正体仮説、原作物語を収録!

塀の向こうから覗き込む八尺様の不気味な姿

「八尺様」は、日本の現代怪談を代表する都市伝説の一つで、2ちゃんねるのオカルト板で広まったとされています。背丈が約240cmもある異様に背の高い女の姿で現れ、「ぽぽぽぽ……」という不気味な声とともに現れるのが特徴です。村落に伝わる“禁忌の存在”として恐れられ、出会ってしまった人間は数日のうちに命を落とすと語られています。

八尺様とは、身長八尺(約240cm)の女の姿をした怪異で、日本の農村部を中心に語られる都市伝説です。
その特徴は以下の通りです。

  • 異様に背の高い女(和服や白いワンピース姿などで語られる)
  • 長い黒髪、もしくは異様なまでの美貌を持つ
  • 「ぽぽぽぽ……」という低く奇妙な声を発する
  • 出会った人間は“標的”にされ、数日のうちに命を落とす
  • 祖父母など村の古老が「八尺様だ」とすぐに気づき、厳しい対処を行う

この怪談は2000年代にインターネット掲示板で発表され、瞬く間に日本の現代怪談の代表格となりました。
「くねくね」「猿夢」と同様に、匿名の体験談という形式で語られ、その後はまとめサイトや書籍、YouTubeの怪談朗読で広まっています。

また、この話には「村落に伝わる古来からの怪異」「外部の人間が標的になる」「土地を出ることで回避できる」など、日本の民俗伝承的要素が色濃く反映されています。

八尺様の目撃は、主に田舎の村や祖父母の家に帰省した若者の語りとして多いです。

  • 白いワンピースを着た異様に背の高い女性が塀越しに覗き込む
  • 「ぽぽぽぽ」という声を夜な夜な聞く
  • 夢に現れて連れ去ろうとする
  • 一度目撃した人物が、数日のうちに病死や事故死した

こうした体験談は実際の記録ではなく、ネット掲示板や口承で伝わる“民話的ホラー”としての性質が強いです。

八尺様の正体については様々な仮説が存在します。

  • 妖怪説:古くから農村に伝わる人外の怪異が近代風にアレンジされたもの。
  • 悪霊説:特定の土地に縛られた怨霊が“女の姿”で現れる。
  • 心理的投影説:田舎特有の閉鎖感・外部者排除の心理が怪異として物語化された。
  • 創作説:2000年代のネット発祥の完全創作であり、古来の伝承ではない。

決定的な証拠はなく、「現代に生まれた妖怪譚」として語られ続けています。

八尺様は、現代怪談の中でも特に“禁忌”の性質が強い存在です。
出会った者は確実に命を落とすという設定は、古来の妖怪譚に通じる恐怖を持ちつつ、インターネット時代の民話として強い影響を与えています。

この怪談は単なる恐怖譚に留まらず、「村の外の人間は怪異に狙われやすい」「古老が知識を持っている」といった、日本の共同体意識や民俗的要素を反映しているのも特徴です。

八尺様の物語


夏の夕暮れ。
私は久しぶりに祖父母の住む村へ帰省していた。田舎特有の湿った風と、ヒグラシの鳴き声がどこか懐かしい。祖父母の家は古く、広い庭と高い塀がある。子どもの頃にはよくそこで遊んだものだ。

その日も私は庭で涼んでいた。すると、不意に背筋がぞくりとした。視線を感じたのだ。ふと塀の向こうを見上げると、そこに異様に背の高い女が立っていた。

女は白いワンピースを着て、長い黒髪を風になびかせている。顔立ちは驚くほど美しい。しかし、その美しさにはどこか不自然な冷たさがあり、ぞっとするほどだった。何より異常なのはその背丈だ。塀の高さは軽く二メートルを超えているのに、その女は上半身を悠々と覗かせていたのだ。

そして女の口から、不気味な声が漏れた。

「……ぽ、ぽ、ぽ、ぽ……」

その音を耳にした瞬間、全身に冷水を浴びせられたような感覚が走った。言葉にできない恐怖。私は慌てて祖父母の家へ駆け込んだ。

塀の向こうから覗き込む八尺様の不気味な姿
背丈八尺の女・八尺様。村に伝わる禁忌の存在とされる。

家の中で青ざめた顔をしている私を見て、祖父はただならぬ様子に気づいた。
「……お前、何を見た?」
震える声で「塀の向こうに、背の高い女が……」と告げると、祖父の顔色がみるみる変わった。

「まさか……八尺様か……!」

祖父は急いで祖母を呼び、家中の窓を閉めさせた。その様子に私は混乱した。
「八尺様? 何なんだよ、それ……」
祖父は低い声で言った。
「八尺様に目をつけられたら、数日のうちに命を落とす。お前はもう狙われてしまったんじゃ……」

その声は冗談ではなく、本気だった。祖母は震える手で数珠とお札を取り出し、私の首に掛けた。

都市伝説「八尺様」のイメージ画像

その夜。
布団に入っても眠れずにいると、外からあの声がまた響いた。

「……ぽぽぽぽ……」

私は息を呑んだ。窓の方を見てはいけない。そう思いながらも恐怖に耐えられず、目だけを窓の方へ向けてしまった。

月明かりに照らされた窓の外に、白い影が立っていた。
女が身をかがめ、こちらを覗き込んでいる。長い髪が垂れ、口元に薄い笑みを浮かべていた。目が合ったような気がした瞬間、心臓が飛び出しそうになった。

「見てはいけない!」

祖母の声が飛び、私は慌てて目を閉じた。震える体を布団にうずめ、その夜は恐怖に耐えながら朝を待った。


翌日、祖父は村の古老たちを集めた。
「このままでは危険だ。護符を持たせて村から遠くへ出すしかない」

私は仏壇の前に座らされ、古老から紙の護符をいくつも手渡された。
「絶対に手放すな。どんなことがあっても振り返るな」
真剣な表情のその言葉に、背筋が冷たくなる。

そして翌朝、私は祖父に連れられて車に乗せられた。村を離れるために。


車は田舎道を走る。
私は後部座席で護符を握りしめ、恐怖に震えていた。

その時、窓の外からまた声が聞こえた。

「……ぽ、ぽ、ぽ、ぽ……」

はっとして横を見ると、田んぼの中に白い影があった。
異様に背の高い女が、無言でこちらを見ている。笑みを浮かべながら、じっと。

「振り向くな! 決して見るんじゃない!」

祖父の怒声が車内に響いた。私は必死に目を閉じ、護符を胸に押し当てた。車は速度を上げ、村を遠ざかっていく。

都市伝説「八尺様」のイメージ画像

やがて声は聞こえなくなり、私はそのまま意識を失った。
目を覚ました時には、もう村から遠く離れていた。祖父は安堵の表情を浮かべていたが、私は震えが止まらなかった。

それ以来、私は八尺様を見ていない。
しかし、今でも夏の夕暮れに風が吹くと、あの声が耳の奥で響くのだ。

「……ぽぽぽぽ……」

まるで、まだどこかで私を見ているかのように。

都市伝説「八尺様」のイメージ画像

FAQ

Q1. 八尺様は実在するのですか?
A. 実在の証拠はなく、ネット掲示板発祥の都市伝説です。古来の妖怪譚をベースにした創作と考えられます。

Q2. なぜ「八尺様」と呼ばれるのですか?
A. 八尺(約240cm)もの異様な身長を持つ女として描写されるためです。

Q3. どういう姿で現れるのですか?
A. 白いワンピースや和装、長い髪、異常な美貌といった描写が多いですが、地域や話者によって異なります。

Q4. 特徴的な「ぽぽぽぽ」という声の意味は?
A. 意味は不明ですが、不気味な擬音として描かれ、怪異の存在を示す合図と解釈されています。

Q5. 出会ってしまったらどうなるのですか?
A. 原作怪談では数日のうちに命を落とすとされます。創作上のルールですが「標的にされたら逃れられない」という禁忌性が恐怖を増幅します。

Q6. 助かる方法はあるのですか?
A. 原作では「護符を持たされ、村を離れる」などの対処が描かれます。現実的には創作ですが、民俗的な“除霊儀式”の要素を踏襲しています。

Q7. どの地域で語られていますか?
A. 具体的な土地は特定されていません。主にインターネット上で全国的に広まりましたが、舞台は農村部・祖父母の家など地方の設定が多いです。

Q8. 八尺様は日本の妖怪や神話に由来するのですか?
A. 直接の古典記録はなく、現代に生まれた怪談ですが、背の高い女性妖怪(ダイダラボッチ伝承や山姥)に影響を受けた可能性はあります。

Q9. 八尺様に狙われるのは子供や若者だけですか?
A. 原作では「若い男性が標的になる」ケースが多く描かれます。異性への魅惑・呪いのモチーフとして機能していると考えられます。

Q10. 八尺様を見たという体験談は本当にあるのですか?
A. ネット上では多くの創作体験談が共有されていますが、客観的な証拠は存在しません。都市伝説的な“語り”が中心です。

Q11. 海外にも似た伝承はありますか?
A. 海外には「スレンダーマン」や「ラ・ヨローナ」のように“異様に背の高い女”や“女性の怪異”が存在します。共通の恐怖心理が背景にあります。

Q12. 作品やメディアでの扱いは?
A. 八尺様は怪談朗読動画や創作小説、漫画、ゲームなどで多く題材にされ、日本のネット怪談文化を代表する存在の一つとなっています。