都市伝説『きさらぎ駅』—ネット発祥の異界への入り口と消えた女性の物語

きさらぎ駅のイメージイラスト

「きさらぎ駅」とは、2004年頃に匿名掲示板2ちゃんねるに書き込まれた奇妙な体験談から広まった都市伝説です。
深夜に電車に乗っていた女性が、存在しない駅「きさらぎ駅」に降り立ち、そこで不可解な出来事に巻き込まれていく――。
インターネット黎明期における「リアルタイム怪談」の代表例であり、現在も語り継がれるネット発の都市伝説の金字塔です。

「きさらぎ駅」とは、実在しないはずの鉄道駅の名前です。
2004年1月、2ちゃんねるオカルト板に「はすみ」という女性が投稿した「今、知らない駅にいる」という実況スレッドから始まりました。

彼女は深夜に電車に乗っていたところ、聞いたことのない「きさらぎ駅」に到着。降り立った瞬間から不可解な出来事に巻き込まれ、スレッドは実況形式で進行していきます。
やがて彼女は「トンネルを抜けて山中を歩いている」と投稿したのを最後に消息を絶ちました。

  • 2004年1月8日頃、2ちゃんねるオカルト板に「実在しない駅に着いた」という書き込みが登場
  • 投稿者は「はすみ」という女性
  • 静岡県浜松市周辺の私鉄に乗っていたと証言
  • 降りた駅の名前は「きさらぎ駅」
  • 以後、数時間にわたって実況が続いた

スレ住民は彼女に「警察に電話しろ」「タクシーを探せ」とアドバイスを送りましたが、彼女の返答は次第に不穏なものに変わっていきます。

「きさらぎ駅」はネット発祥の都市伝説ですが、その後も派生する噂が生まれました。

  • 実際に電車で奇妙な「無人駅」に降りたと報告する者が現れる
  • 駅名が「やみ」「うつろ」など異なるバリエーションとして語られる
  • 「Google Mapに一時期きさらぎ駅が表示された」というデマが拡散
  • YouTubeや怪談朗読で再演され、後世に広く知られる
  1. 創作説
     — はすみ氏の創作怪談が偶然バズった。
  2. 異界移動説
     — 異世界や霊界に迷い込む「神隠し」体験を現代に置き換えた。
  3. 集団創作説
     — スレ住民と投稿者が共同で作り上げたネット即興劇。
  4. 土地の記憶説
     — 実際の廃駅・廃線が記憶の中で再構成された。

きさらぎ駅の物語

深夜の電車

私はその日、終電に揺られていた。
窓の外には見慣れた街の灯りが流れ、やがて住宅街も消え、闇が車窓を覆った。

いつの間にか乗客は私一人。電車は走り続けるが、駅に停まる気配がない。

やがて――。

「次は……きさらぎ駅」

車内アナウンスが響いた。

聞いたことのない駅名だった。

きさらぎ駅

ホームに降り立つと、そこは無人駅だった。
街灯はぼんやりと薄暗く、駅名標に「きさらぎ」とだけ書かれている。

風はなく、時計の針も止まったような静寂が支配していた。

「おかしい……こんな駅、聞いたことがない」

私は携帯を取り出し、ネットで調べたが「該当なし」としか出ない。

きさらぎ駅のイメージイラスト

不穏な兆し

スレッドに書き込みを始めると、住民たちが即座に反応した。
《そんな駅は存在しない》《すぐに引き返せ》

私は再び電車に乗ろうとしたが、先ほどの車両は影も形もなく消えていた。

背後の山の方から、鈴のような音が微かに響く。
胸騒ぎがした。

私は線路沿いに歩き、やがて暗いトンネルに差しかかった。
中は湿り気を帯び、ひどく長い。

携帯の電波は途絶え、足音だけが反響する。
やがて、背後から複数の足音がついてきているのに気づいた。

振り返ると――誰もいない。

山道

トンネルを抜けると、そこは山中の細道だった。
街灯もなく、月明かりだけが頼り。

「助けて……」とつぶやきながらスレに書き込みを続けた。
だが住民の声は次第に遠のき、携帯は沈黙した。

消失

最後の書き込みはこうだった。

《知らないおじさんに会った。今から車に乗せてもらう》

それを最後に、投稿は途絶えた。
「はすみ」の行方は二度と分からなかった。

きさらぎ駅のイメージイラスト

きさらぎ駅は、ネット掲示板の実況形式で広まった都市伝説の代表です。
2004年当時、リアルタイムに進行する怪談は人々を震え上がらせ、現在もYouTubeや書籍、ドラマの題材として語り継がれています。
創作か、異界の入り口か――今なお結論は出ていません。

Q1. きさらぎ駅は実在しますか?
A. 実在の証拠はなく、完全に都市伝説とされています。
Q2. きさらぎ駅はどこにある?
A. 静岡県浜松市周辺の私鉄ではないかと言われていますが未確認です。
Q3. 発祥はいつ?
A. 2004年1月、2ちゃんねるオカルト板での書き込みが始まりです。
Q4. 誰が体験した?
A. 「はすみ」と名乗る女性。現在の消息は不明です。
Q5. 本当に異界に迷い込んだ?
A. 真偽は不明で、創作説と異界移動説が存在します。
Q6. 他にも似た駅はある?
A. 「やみ駅」「うつろ駅」などの派生がネットで語られています。
Q7. メディア化は?
A. 書籍、ドラマ、朗読動画、YouTubeで多く再演されています。
Q8. 実際の廃駅がモデル?
A. 諸説ありますが、特定された駅はありません。
Q9. 投稿はどこまで残っている?
A. 途中まではログが残っていますが、最後は途絶えています。
Q10. はすみはどうなった?
A. 以降の投稿がなく、不明のままです。
Q11. きさらぎ駅に行ける?
A. 実際には行けませんが、心霊スポットとして語られています。
Q12. 今も語られている?
A. はい。日本のネット怪談文化を代表する存在として人気です。